遺産相続トラブルというと、映画やドラマに出てくるような富豪の家族に起るものとお考えになる方が多いことと思いますが、実際には相続税のかからないごく普通の家族にもおこることなのです。いざという時に相続人間で争うことのないよう、日ごろから遺産を相続する時のことについて家族で話し合っておくことが大切です。

相続財産が不動産だけの場合のトラブル

ごく普通の家庭で最もおこりやすい遺産相続のトラブルは、相続する財産が土地や家屋などの不動産だけの場合です。
その中でも、最も解決しにくいトラブルになってしまうケースは、相続財産である土地や家屋に相続人のうちの一人が居住している場合です。

トラブルパターン1 …不動産の分割・被相続人と長男家族が一緒に暮らしていたケース

≪被相続人は配偶者を失くした後、長男に嫁と子供を連れて実家に戻ってもらい、長年にわたり長男の家族と暮らしていましたが、ここ数年は病気がちになったことから、長男の嫁から手厚い世話を受けていた為、長男の嫁に遺産分割の頭数にはあなたも入っているからということを常々告げていたものの、急激に病状が悪化し、遺言書を作成しないうちに亡くなってしまいました。≫
このケースでは遺言が無い為、長男の嫁は相続することができません。
民法では、配偶者は常に相続人になりますが、この場合は配偶者がいない為、第一順位である子だけが相続人になります。
従って、被相続人と一緒に暮らしていた長男はもちろんのこと、長男の兄弟姉妹にも相続の権利があるのです。
このようなケースで、長男は自分のすべてを犠牲にして親に尽くしてくれた嫁に対する感謝の気持ちがある一方で、親が病気になってからも手伝いにも来なかった兄弟姉妹に対しては不満があり、兄弟姉妹は親の遺産である不動産を売却して公平に分割することには納得できず、結果、トラブルに発展することがあります。
兄弟姉妹の要求に従えば、嫁が遺産を全く受け取れないばかりか、家族揃って住む家を失ってしまることにもなります。
兄弟姉妹にしてみれば、不動産の他に相続財産が無く、不動産を売却してもらえなければ、自分たちは遺産をまったく相続できないということになります。
家族の生活の状況にもよりますが、お互いの主張を通していれば解決するが難しいトラブルです。
家庭裁判所に寄与分の申し立てをすることもできますが、簡単に寄与分が認められる訳でもなく、このような兄弟間の争いを防ぐ為には、親が元気なうちに兄弟姉妹で遺産相続について話し合っておくこと、また親の立場から考えると遺言を遺しておくことが大切です。

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トラブルパターン2 …遺言書・子のいない夫婦が配偶者を失ったケース

≪子のいない夫婦の場合、遺産は配偶者と被相続人の親(親が居ない場合は祖父母)、親がいない場合は兄弟姉妹が相続しますが、夫婦ともに親や兄弟姉妹とは疎遠であること、子がいないので残された配偶者が老後を不安なく送れるようにしたいことなどから、夫婦で遺言を作成し、どちらかが先に亡くなった場合、遺産は全て配偶者が受け取れるようにしようと話し合っていた矢先、突然の事故で一方の配偶者が亡くなってしまいました。夫婦は遺言書を作成していませんでしたので、被相続人の親が遺産の3分の1を相続することになってしまったのですが、マンションのローン返済が終わっていなかった為、マンションを手放して現金を作り、遺産を分割するしかなくなってしまいました。≫
このケースでは、配偶者が一人になった時に生活に困らないよう残された配偶者だけが遺産を受け取れるように計画していたものの、遺言書の作成が間に合わなかったため、トラブルになってしまいました。
普段から疎遠であった為に、被相続人の親兄弟は被相続人の配偶者に対する愛情も薄く、残された配偶者の今後の生活に対する配慮をしてもらえなかったことがトラブルの原因です。
普段どんなに疎遠であっても、遺産相続の法定相続分というものは民法に定められている為、遺言が無い限りこれを覆すことはできません。
特に残された配偶者が妻であった場合、マンションの名義が夫名義になっていることが多く、余計問題が複雑になってしまいます。
遺言書を作成しておくこと、マンションなどの共有財産は共同名義にしておくこと、親や兄弟とは、普段行き来がなくても遺産相続について話をしておくことが大切です。

遺産分割協議に関するトラブル

トラブルパターン3 …遺産分割協議・相続人の一人が認知症であるケース

≪父親が亡くなり、母親と子供達が遺産分割をすることになったが、判断能力が無くなっている為、遺産分割協議に参加することができず、兄弟姉妹でどうしたらよいか話し合っているうちに納税の期限を過ぎてしまい、小規模宅地の減額などが適用できなくなってしまった。≫
法定相続人の一人でも遺産分割協議に参加できない、参加しないと、遺産分割の手続きは何一つ始められません。
このような場合には、早めに成年後見人の選任を家庭裁判所に求める必要があります。
成年後見人制度とは、認知症や知的障害等によって判断能力を失ってしまった人等が、遺産分割協議などの判断力を必要とする場で、成年後見人に支援してもらえるよう、家庭裁判所に成年後見人を選任してもらうという制度です。
判断能力が不十分になった時に備え、本人が元気なうちに任意後見契約をしておくこともできますが、任意後見契約をする前に認知症にかかってしまった場合は、一定の家族等が成年後見人の選任を申立てることになります。
ただし、成年後見人の選任を求める申立から選任まで、一定の期間がかかりますので、早めに手続きをする必要があります。

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遺留分に関するトラブル

トラブルパターン4 …遺留分・法定相続人の生活が破たんするような遺言が残されていたケース

≪趣味で芸術家を支援していた父親が亡くなり、遺産は全て支援していた芸術家の団体に遺贈するという遺言が遺されていました。配偶者と子供達が住む家をはじめ、銀行の預貯金や株券、美術品など、すべての遺産を現金に換え、これを遺贈するというものです。この遺言に従えば、学業の途中である子供達や専業主婦である母親はこの先の生計を立てていくことができません。その為、家庭裁判所に申立てをして遺留分減殺の請求をしたところ、これが認められましたが、通常に相続する遺産よりはるかに少ない遺産となってしまいました。≫
このケースは遺留分が認められたケースです。
遺留分とは、法定相続人の生活が破たんするような遺言が残されていた場合、法定相続人は遺贈された相手に対して遺留分減殺請求をする事ができます。
他の遺産相続に関する手続きと違い、遺留分減殺請求は家庭裁判所に申立てをするだけではなく、遺贈された相手に対して直接交渉をすることもできます。なお、遺留分減殺請求をしなかった場合は、遺留分は返還されません。
このケースのように家庭裁判所の調停手続きで解決することもありますが、相手が応じなかった場合、民事訴訟になることもあります。
このような事態を避ける為には日常的な家族のコミュニケーションが大切です。

遺産相続は、当事者になってみて初めて経験することが数多くあり、考えも及ばなかったトラブルに見舞われることも少なくありません。
家族が普段からコミュニケーションを取っていること、いざという時にはどのようにするかということを話し合っておくことが遺産相続でのトラブルを避けることに繋がります。

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