遺産相続の順位は民法に定められており、被相続人に子供がいる場合、基本的には孫は遺産を相続する権利を持っていませんが、孫が遺産を相続することになるケースや孫に遺産承継させるための方法はいくつかあります。

■ 孫が遺産相続をすることになるケース

【Point1】 被相続人の子が亡くなっていたケース

Fotolia_88747493_Subscription_Monthly_M

遺産相続で最も優先される相続人は被相続人の配偶者で、第一順位の相続人は被相続人の子です。第二順位の相続人は、被相続人の父母、第三順位の相続人は被相続人の兄弟姉妹です。
被相続人の子が亡くなっていた場合には、被相続人の孫にあたる被相続人の子の子が代襲相続をすることになります。被相続人の子が複数いた場合には、亡くなった相続人の子(孫)と被相続人の子が第一順位の相続人となるので、どちらにも同等に遺産が分割されます。

【Point2】 被相続人の子が相続欠格となっていたケース

Fotolia_82399051_Subscription_Monthly_M

相続欠格とは、遺産相続が自分に有利になるように不正な行為をした為に、相続の権利を失うことです。遺言書を破棄する、隠匿する、変造する、または被相続人を騙す、脅すなどの行為で遺言書の内容を書き換えさせるというような遺言書に関わる不正、被相続人を殺害する、殺害しようとする、殺害の計画を知りながら告発しないなどの行為は、全て相続欠格に繋がる不正行為です。被相続人の子がそのような行為をして相続欠格となった場合には、孫が遺産を相続することになります。

【Point3】 被相続人の子が相続人の廃除となっていたケース

Fotolia_83193832_Subscription_Monthly_M

相続人の廃除とは、被相続人が相続人の権利をはく奪する制度のことです。相続人が被相続人に対して重大な侮辱を与えた、被相続人を虐待したというような場合や、多額の負債を被相続人に押し付けた、家名を汚すような行為を繰り返したというような場合には、被相続人が家庭裁判所に相続人の廃除を申し立てることができるのです。申し立てを受けた家庭裁判所が相続人の廃除の審判を下すと、申し立てられた相続人は相続の権利を失います。従って、被相続人の子が相続人廃除となっていた場合には、孫が遺産を相続することになります。

【Point4】 相続放棄をした場合には、孫が遺産を相続することはありません

Fotolia_96377449_Subscription_Monthly_M

被相続人に莫大な負債があり、遺産相続することによって相続人の生活が脅かされるような場合には、家庭裁判所に申し立てをし、遺産相続を放棄することができます。その場合はその相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされるので、被相続人の子が放棄された負の遺産を相続することはありません。

■ 孫に遺産承継させるための方法
被相続人の子が生存しているにもかかわらず孫に遺産承継させるための方法には2つの方法があります。また遺産承継の権利を孫に移すという方法とは別に、生前贈与という方法も節税対策として有効です。

【Point5】 遺言によって孫に遺産を遺贈する方法

Fotolia_81770034_Subscription_Monthly_M

被相続人の子が生存している場合には、遺産相続の権利を持たない孫に遺産を承継させるための方法の一つは、遺言を作成するということです。遺言書に、孫に遺産を遺贈する旨を書き記しておくことで孫に遺産を承継させることができます。なぜなら遺産承継において最も優先される遺産分割の方法は遺言書の指示だからです。

遺言書がなかった場合、または遺言書はあったものの法的効力を持たない遺言書であった場合には、民法の定める法定相続分によって相続をする人とそれぞれに分割される遺産の相続分に従って遺産分割が進められますが、法的に効力を持つ遺言書があった場合には、遺言書の指示に従って遺産分割が行われます。従って、遺言書によって孫に遺産承継させたい場合、重要なことは法的に効力を持つ遺言書を作成するということです。

遺言書には通常の状態であれば自筆証書遺言と公正証書遺言、秘密証書遺言という3種類の遺言証書があり、伝染病で隔離されている、乗船している船舶が難破しかかっているなどの特異な状況の場合には、危急時遺言と隔絶地遺言という特別遺言の方式があります。この中で、自筆証書遺言は、最も手軽に作成できる遺言書である為、多くの人が作成する遺言書ですが、法律的な効力を持たない遺言書になってしまう恐れの高い遺言書でもあります。

公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらう為、手間と費用はかかりますが書類上の不備によって法的な効力を失効するということがないのですが、自筆証書遺言の場合、自宅で専門家のアドバイスを受けずに作成することが多い為、書式に不備があり法的な効力を持たない遺言書になってしまうことがあるのです。法的効力を持つ自筆証書遺言を作成したとしても、自分の死後、家族が遺言書を発見できないまま法定相続分に従って遺産相続をしてしまう、遺言書を発見した遺族の一人が自分に有利になるよう内容を改ざんする、自分の不利になる遺言書があったために破棄してしまうなどの恐れもあります。

また、自筆証書遺言は、家族が発見した際に自宅で開封することはできず、裁判所で遺言書の検認の手続きをしてもらわなくてはならないので、残された家族に手間暇をかけてしまいます。その点、公正証書遺言は原本が公証役場に保管されているので、家族が発見できない、紛失する、内容を改ざんされるというような恐れが無く、裁判所の検認手続きも必要ないので、スムーズに遺産相続の手続きが始められるという利点があります。従って、遺言書によって孫に遺産承継させたい場合には、作成時には専門家のアドバイスを受けられ、紛失や改ざんの恐れが無い公正証書遺言を作成することが確実な方法です。

【Point6】 養子縁組によって孫に遺産を相続させる方法

被相続人の子が生存しているにもかかわらず、孫に遺産を相続させる方法として養子縁組をするという方法があります。養子縁組は、血の繋がらない他人を法的な手続きによって養子とする場合だけではなく、血の繋がりのある親族を養子とすることもできます。通常であれば、養子にしたい子の年齢が15歳未満であった場合は、家庭裁判所の申し立てをしなくてはならず、養子となる子の実親などが法定代理人となって養子縁組について承諾する必要がありますが、孫を養子にする場合には、家庭裁判所に申し立てをする必要はありません。

本籍が置かれている市区町村の役場に養親、養子両方の戸籍謄本又は抄本と養子縁組届を提出することで、養子縁組の手続きができます。また、他人と養子縁組をする場合、養子となる子と実親の関係が一切遮断される特別養子制度という養子縁組もありますが、孫を養子にした場合にはこの制度は適用されませんので、養子縁組をした孫は、祖父母の遺産を相続するだけではなく、実親の遺産を相続することもできます。

【Point7】生前贈与をして孫に遺産を承継させる方法

Grandfather and grandson talking in park

孫に遺産を与える方法としては直接的な遺産相続の権利を孫に移すということではありませんが、信託銀行を通して孫の教育にかかる費用を長期間に渡って定期的に贈与するという方法もあります。信託銀行の教育資金贈与制度を利用して孫に教育費を生前贈与するというもので、孫に遺産の相続権を与えることとは異なりますが、養子縁組をして節税対策をするよりも自然な形で孫に遺産を贈ることができる方法と言えます。

まとめ

実子が亡くなってしまった場合や相続欠格などがおこった場合には、必然的に孫が遺産を相続することになりますが、実子が生存している状態で孫に遺産を承継させたい場合は、遺言書に孫に遺産を遺贈する旨を書き記しておく、養子縁組をして孫を子とするといった方法がありますが、教育資金の生前贈与という方法で孫に遺産を与える方法もあります。家族にとって後々不利益にならない方法を家族の状況や遺産の額に合わせて選ぶことが大切です。

東京・神奈川周辺の司法書士へ問い合わせ

045-439-5274

※管理者がご相談内容、地域に応じて、最適な司法書士をご紹介します。

関連記事

東京・神奈川周辺の
司法書士へ問い合わせ

045-439-5274

※管理者がご相談内容、地域に応じて、最適な司法書士をご紹介します。
ページ上部へ戻る